Sergey Gavrilets
適応地形とは生物と環境との適応的な関係を地形図状に表現したもの(fig.A3(b))。
適応地形については以下のような2つの解釈が存在する。
適応地形平面上の位置は遺伝子の頻度を表し、その点の高さが集団の平均適応度を示す。
個体が適応平面上の点として表され、集団はその点が密集している状態によって表現される。各点における高さは個体の適応度を示す。
適応地形において、その次元dはn遺伝子座ではd=n+1と、本来は非常に大きい。
'rugged landscape'のモデルには疑問の余地がある。
→これらの問題を解決するための説がいくつか出ているが、それらの一般性については疑わしい。
このモデルは以下のような想定に基づいている。
Dobzhansky's model
Perclation theory
holey landscapeのモデルでは、適応的な遺伝子型はまとまり(clusters)を形成することが予測される。
このモデルはPにより性質的に異なる2つの状態をとる。
P<Pc:(subcritical)
遺伝子空間上には小さなclusterが複数存在する。clusterを構成する遺伝子型は単一の'evolutionary path'によって連結されている。
P>Pc:(supercritical)
全ての適応的な遺伝子型を内包する単一の巨大なclusterが存在する。各メンバをつなぐ'evolutionary path'はたくさん存在する。
適応的な遺伝子型同士で遺伝子置換ステップを繰り返すとspeciationが起こる
最も大きなclusterにおける、互いに繁殖隔離された遺伝子型の総数SとPとの関係はfig.4のようになる。
speciationがどのようにして起きるかを理解するために適応地形における進化的ダイナミクスを考える。
ここでholey landscapeにおける最も大きなcluster上での遺伝子型の移動による進化のシナリオを考える。
fig.5のように、rugged landscapeのw2とw1に挟まれた部分が巨大なclusterを形成するとき、適応度の下がった遺伝子型の淘汰や遺伝子型の適応度の上昇の抑制するような変位や組み替えによってその部分への集団の移動は妨げられるが、いったんclusterまで到達した集団はholey landscapeの性質に従ってほぼ中立な進化をさらに行う。
n遺伝子座を考えると、Percolation theoryから、
適応的な遺伝子型のclusterは多くできるがサイズが小さく、顕著な進化的変化は見られない。
巨大なclusterが存在し、ほぼ中立な進化が起きる。十分に長い時間が経過すると、集団はcluster上のどの場所にも等しい確率で存在する。
有性の集団においては、遺伝子の組み替えと表現型の分離の要素が付加される。その結果、集団は適応的な遺伝型の領域により長い時間存在しようとするだろう。このモデルにおけるgenetic divergenceの割合についてはまだ研究されていない。
rugged landscapeの大進化とspeciationは、対応するholey landscapeの性質に従って進む。
holey adaptive landscapeの構造と進化についての数学的モデルは生物学的集団の性質についての想定と予測を行っている。これらの理論的な想定・予測は自然界や実験における集団の性質によって検証することができる。Box3はholey adaptive landscapeの実験的証拠の存在についての要約である。
2つの種をつなぐ適応的な遺伝子型による「尾根」についての再現と検証のために人工的な雑種形成実験を行う。hybrid zoneのいくつかの性質は集団への淘汰についての指標になる。hybrid zoneにはholey型とrugged型の2つがありこれらhahybrid zoneの中心における遺伝子型の適応度の高さにおいて大きく異なる。
化石記録に観察される形態的な変化とspeciationのパターンの一般的な帰無モデルはランダムに拡散している。
多くの遺伝子座、より限定された小集団、強い淘汰などより現実的な条件での研究を拡張していく。
大進化と小進化とのギャップを埋める。
'quasi-neutral'と'conditonally neutral'な遺伝的変化のギャップを埋める。
現在のアプローチでは生態学的要因や、共進化について考えられていない。
組み替えを導入したholey landscapeにおけるgenetic divergenceとspeciationの可能性についてさらに調べる。