前章では、
捕食者のリスクについて議論
…見つかる−攻撃される−捕まる−食べられる
predator forage と good meal の間には以下のような障害が存在する。
(1)隠れている食料を見つけださなければならない。
(2)攻撃するコストに見合うだけの利益が得られるかどうか判断しなければいけない。
(3)捕まえてみたら予想してたのと違うかもしれない。
(4)捕まえて食べるのにもまだ手間がかかる。
この章では、以下のことについて述べる
これらの障害をコスト−利益の問題(どれだけ効率よく食料を集められるか?)として扱う。
foraging の利益を増やしコストを下げるような採餌行動は総利益が低い他の遺伝子よりも効果的に増えやすい。
最適化理論( optimality theory )はこの章では特に重要な役割を果たす。
採餌行動の適応的な価値を理解する
Locating Food
・須く生物は他者に食われるものである。
よく逃げるもの、毒を持つ植物、人間から見れば不愉快であるだろう物質でさえ利用可能なカロリーや栄養を持っている。これら食べられるものは刺激となるものを出していて、それを探す動物に見つけられる。
ex)dung-eating beetles (fig.1)
糞に揮発性の物質が含まれている。→匂いに惹かれて集まってくる。
ある種の捕食者は、尿や糞など以外では見つけにくい生物を見つける手がかりとして用いる。
フィンランドのa small hawkやチョウゲンボウはハタネズミがいる証拠として糞を探す。これらの齧歯類は巣の周りに排泄物をにおいによるなわばりの印としておく。この糞は紫外線(これは我々には知覚できないがkestrelにはできる)を反射し、十分な反射量の紫外線を確認すると狩りのために住みつく。
→これは多種のコミュニケーション手段を自分に有利に使う例である。(chap.8のtungara
frogのケースも参照のこと)
チョウゲンボウは被食者との進化的arms raceのなかで捕食者から隠れるハタネズミの傾向に応じて適応的に進化してきた。
視覚的に狩りを行う昆虫食の鳥は 見つけられないような体色や行動の昆虫を捕まえるように狩りの技術を進化させた。
オランダの森林地帯で新しい種類のcamouflaged mossの幼虫が現れる晩春から初夏にかけての時期に、nesting
songbirdsは最初はたいてい見過ごすが、2,3回見つけた後は親鳥はより沢山巣に持ち帰るようになる。
昆虫食の鳥は、利益性は高いが隠れるのが上手い餌について、僅かな視覚的特徴を強調するようなserch imageを経験からつくりあげるようになる。
オペラント条件付けの技術を用いたこの仮説についての検証
捕獲したblue jaysを適当な背景上におかれた保護色の蛾のスライドに応答するように訓練した。(see
Chap9,fig11)
スライドがスクリーン上に浮かぶとカケスは短い時間で反応する:
蛾を見つけるとキーをつついて報酬(餌)を得、すぐに新しいスライドを見せられる。しかし保護色の蛾のいないスライドを見てキーをつつくと餌が得られないだけでなく食料を得るチャンスを数分の間待たなければならない。
この一連の実験でカケスは16枚のスライドを見せられ、そのうち8枚に蛾が写っている。
一つ目の試験では8枚のスライド全てが同じ種類の蛾、もう一つの試験では色と位置の異なる2種の蛾がランダムな順番で見せられる。
一種のみの時、実験を繰り返すと、順を追うごとに失敗の数が減るので明らかにsearch
imageが形成されている。
蛾が2種類の時、改善は見られず、search imageが全く形成されないかもしくは誤ったserach
imageを用いていると示唆され、つまり2種の餌が同じ頻度でいるようなとき餌を探す精度は減少する。(fig
2)
屋内での鳩を用いたオペラント条件付けの研究や野外でのEuropian blackbirdsの研究でも同じような結果がでている。
Dung beetlesは食料からでる嗅覚的なcueを見つけ、また鳥はその食料を視覚的に捜す。
→何故種より食料を捜すのに用いるcueが異なるのか?
一つの歴史的な答えは、異なる動物では異なる祖先から受け継いだ識別のための知覚系が異なるためである。
トカゲの食糧確保のやり方の違いの研究例:トカゲは2つの内どちらかのグループに分けることができる。
(1)昆虫や植物を捜して活発に動き回るタイプ
舌をチロチロさせて、空気中の嗅覚的cueを集め、餌に近づく。
(2)通りかかる餌を待ち伏せて襲うタイプ
移動中の餌からの視覚的cueのみに頼る。
William Cooperはトカゲのクラドグラムにこの2タイプをプロットした。(fig3)
この結果は(1)のタイプには3つの独立した起源があり、このタイプから(2)のタイプへの移り変わりが一度あったことを示している。つまり、トカゲのこれらのファミリーに共通な特性は主に、動き回る特徴を持った共通の祖先に由来する。しかしtongue
flickingは活発な探索行動に付随して3回進化しており、化学的な餌探しはこの行動の適応的な構成要素であるといえる。
餌探しは自分一人でしなければならない訳では無く、仲間から食料の場所を教えて貰っても良い。
ミツバチ、スズメバチ、アリ、シロアリといった社会性昆虫や、社会性の哺乳類でこの現象についての多くの実験がされており、ミツバチのダンスは最も有名なケースだろう。
働きバチの複雑なダンスは花粉や蜜を見つけた蜂が巣箱に戻ってきたときに行われる。ダンサーは他の蜂を惹きつけ、惹きつけられた蜂は完全に暗い巣箱の中にある巣の上でダンサーの後に従って円を描く。
特殊な観察用の巣箱を用いてダンサーを観察するとダンスには食料源の場所について驚くほど多くの情報が含まれていることが分かる。
round dance (fig 4)の場合
巣箱からかなり近い場所(50m以内)に餌場を見つけた。
waggle dance(fig 5)の場合
50m以上離れた餌場を見つけた 。
以下の項目について調べれば餌場がおよそどのくらいの位置にあるか分かる。
(1)15秒間にwaggled danceを何回したか
(2)waggle danceの直線移動部分の長さ
(3)音を出す頻度
例えば15秒間のダンス回数が多いほど餌場は遠い。
さらに、探し蜂は餌場−巣箱−太陽の角度により離れた餌場への道筋を表現し、この情報を巣の垂直面で行うwaggle
danceの直線移動で表し、太陽による方位情報を重力を基準としたコードに変換する。
ex)直線移動の際に、
巣をまっすぐ上に上る
:太陽の方向にまっすぐ進むと餌場がある
巣をまっすぐ下に歩く
:太陽と正反対の方向に餌場がある
重力方向から90度右に歩く :太陽と巣箱を結んだ直線から90度右の方向に進むと餌場がある
蜂のダンスは良い餌場についてのかなり明確な情報をエンコードしている。
von Frisch基本的な調査方法は、彼の用意した特定の餌場に蜂(識別用にペイントされている)が訪れるように訓練するというものだった。この訓練された蜂のダンスを見ると、餌場の方向と距離に従ってほぼ予測通りにそのダンスが変化した。
さらに重要なことに、訓練した蜂は見つけた餌場を他の蜂に教えることができた。
von Frischや最近の研究が、集められた働きバチがダンス自体で餌場の位置を学習していることを明らかにしているかどうかについては議論が続いている。
蜂は花を捜すガイドとして踊っている蜂に付着した花の匂いに主に頼っている、と信じている人たちもいるが、「ロボット」の蜂が働きバチを特定方向へ食料を探しに行くように誘導できるという研究結果は、働きバチがダンスから有用な情報を得ているという説を支持するものである。
ダンサーのエネルギー的なコストや人間がダンスの持つ距離や方向についての情報を正確にデコードできることを考えると、ダンス行動が全く重要でないということはないだろう。
ミツバチのダンスの適応的な価値について調べる前に、その進化的な歴史について推測してみよう。
Martin Lindauerは高度に特殊化した行動の過程を解明するために、現存する蜂の種での比較を行った。
Apisの属のメンバの内、A.floreaを除く他の3種はミツバチ(Apis
mellifera)と同じダンスをする。
A.floreaは木の枝に覆いのない巣を造り、その表面の水平な部分でダンスを行う(fig
7)。餌場の方向を示すのに、働き蜂のwaggle runは単純に餌場の方向を直接指している。これは暗所での垂直面での置き換えられた方向支持と較べて洗練された行動ではないので、おそらく祖先種のダンスの形によく似ているのだろう。
他の蜂についても調べると、熱帯地方の針を持たない蜂は多様な情報伝達系を利用していて、彼はそれを利用して以下のような進化のシナリオを作った。
考え得る最初のステージ:
針無し蜂のTrigonaのいくつかの種の働き蜂はよい餌場から戻ると、組織されていない興奮した行動と高いピッチのハミングをする。この行動は巣にいる仲間を刺激し、仲間の蜂は「ダンサー」の体に付いた餌のにおいを探る。この情報を元に巣を離れ同じにおいを捜す。呼びかけを行った蜂の行動には求める餌の方向や距離についての情報はない。
中間のステージ:
Trigonaの他の種の働き蜂は、上記の蜂よりも餌の位置についてより正確な情報を提供する。これらの種では働き蜂は下顎の腺で作られたフェロモンで目印を付ける。巣に戻るまで数ヤードおきに草や石を噛み続ける。巣の入り口で蜂の群が後に続くために待っていて、付けた印によって他の蜂を誘導する。(fig
8)
より洗練されたパターン:
Trigonaの蜂と違い、Melipona属のいくつかの種の針無し蜂は距離と方向の情報を分けている。
ダンサーは餌場までの距離の情報を伝えるために音のパルスを発生する;このパルスが長いほど餌場までの距離は遠い。
方向についての情報を伝えるために、後続の蜂をつれて巣を起ち、餌の方向に短くジグザグ飛行を数回繰り返す。
ミツバチの祖先種による食料源までの距離の情報伝達は、
当初食料を持った働き蜂の只の煽動的な行動だったのではないかと示唆した。他の働き蜂は帰ってきた蜂に刺激されて巣から離れて餌を探しにいったのだろう。
↓
Meliponaのいくつかの種では、その後「興奮した」働き蜂による音と行動が淘汰によって標準化した。この傾向が、最終的にApis属の蜂の餌の巣からの距離についての記号的な情報を持ったround/waggleダンスに達した。
食料源の方向についての情報は、
働き蜂が後続の群れを餌場に導く個々の誘導に起源を持つように見える。
最初は(Meliponaのように)部分的な案内をしていた。
↓
やがて(A.floreaのように)単に水平面でのwaggle runによる方向支持をするだけになった。
↓
最終段階ではA.melliferaの太陽による方位を重力に基づいて変換した置き換え指示になる。
ミツバチのダンスの歴史についての次は、その適応的な価値についてである。
Thomas SeeleyとKIrk Visscherは、働き蜂のダンスによる時間的・エネルギー的なコストが、どのように女王蜂の適応度の利益を補償するかという3つの仮説を立てた。働き蜂は不妊であるため、彼らの行動は彼ら自身の繁殖成功を向上しないが、彼らの行動は繁殖可能な家族の適応度を上昇させる(see
Chap.15)。
ダンサーは巣にいる仲間が餌をより素早く見つける手助けをし、働き蜂の食料探しのコストを減らし、コロニーにおける栄養的なコストー利益の比率を増加する。
この仮説では、斥候によって知らせを受けた後続の蜂がダンスに従って餌を見つける時間に比べて、新しい餌を探す斥候蜂が食料を見つけるための方がより多くの時間が掛かることになる。
しかし実際の実験では、巣から出る前にダンサーのダンスに続いた後続の蜂が、一度目の飛行で目的の場所を見つけることは稀だった。
後続の蜂が知らせを受けた目的の場所にたどり着くまでには平均で2時間掛かった。
斥候蜂は、巣に戻りダンスする価値のある新しい食料源を見つけるのに平均で90分以下の時間しか要さなかった。
この「時間節約説」は棄却せざるを得ない。
より価値の高いえさ場を後続の蜂に知らせ、働き蜂の単位時間あたりのカロリー収入を増加させる。
この仮説では後続の蜂は知らせを受けた餌場から食料を持ち帰るときに、他の蜂に道案内をされない斥候蜂が巣に持ち帰る量と比べて、平均的により多くの花粉や蜜を持ち帰るだろう。
餌場を知らされた後続の蜂は多くの餌を餌場から持ち帰るけれど、斥候蜂はしばしば何も持ち帰らずに斥候から戻ってくる。(fig
9)
多くの労働力を餌場に送ることは他のコロニーの蜂や競争相手が利用する前により多くの餌を得られる。
この仮説では、斥候蜂が宣伝を始めた後で餌場にやってくる後続の蜂の数は、仲間からの道案内なしで餌場を見つける働き蜂の数よりも多くなる。
SeeleyとVisscherはいくつかの鉢植えを移し替え、それぞれの場所を斥候蜂が見つけるのに掛かる時間を計った。新しく餌場に来る蜂の割合は5-10分に約一匹の割合だった。 しかし一旦斥候が巣に戻りそこでダンスを始めると、後続の蜂がその場所に殺到する。後続の蜂はどれも平均的には新しく教えられた餌場を見つけるのに2時間掛かるが多くの内の何匹かは素早く到着し、その結果かなり素早い後続の餌場への増強が起きる。(fig
10)
結果として、餌場の花粉や蜜はそのコロニーの先遣と後続の蜂によって持ち去られ、他の蜂は利用できない。
餌場への後続の活発な募集は社会性昆虫に較べてワタリガラス(ravens)のようないくつかの例外(see
Chap 8)を除いて、脊椎動物ではあまり発達していない。
注意深い鳥は餌を見つけるのに成功した隣人を監視していて、豊富な餌場に戻る成功者の後に単について行くだけである。このような方法で自分では餌探しに失敗した動物はよい餌場を見つけることができる。
コロニーや鳥が止まり木に集まる行動は「情報センター」として役に立っているという考えに基づく予測
餌を探す鳥はコロニーを集団で飛び立ち、同じ方向に飛んで行くはずである。
もし群による出発が起きなかったり、あちこち別の方向に飛び立つのであれば社会的な情報伝達は起きているようには見えない。
コロニー性の鳥のいくつかの研究で、鳥の群でコロニーを離れ同じ方向に向かう傾向が報告されている。
→1羽のツバメが昆虫を捕りに巣から飛び立つと、他の鳥もそれに続いて同時に巣から出発する。
先導者と従者が居るとき、従者は以前餌捕りに失敗し、先導者は過去に成功している鳥である。
この予測はMargaret HebblethwaiteとWilliam Shieldsのツバメのポピュレーション研究でその検証に失敗した。
前回食料探索に失敗した鳥には次の食料探索の時には誰もついてこない(fig
11)が、成功した鳥が失敗した鳥に比べてついて来る鳥の数が多いというわけでもないようだ。
コロニー性の黒頭カモメについての実験研究も同様に否定的な結果になった。
一方、Erick Greeneは情報センター説を支持するようなミサゴ(緩いコロニーに住む、大型の食魚性の鷹)の行動を発見した。
成功した仲間がコロニーに帰ってくるとミサゴは餌をより頻繁に探しに行き始めるだけでなく成功者が来た方向に飛び立つ傾向がある。加えて、餌を持った成功者を見て飛び立った鳥は、成功者を見ずに餌を探す鳥よりもより短時間で餌を捕まえることができる。(fig
12)
若くなわばりをを持たないカラスや、コロニー性のコウモリの研究もこの説を支持するものだった。
単独で生活する捕食者には他者を見て餌を見つける機会はない。しかし、8章で見たAngerfishのように彼らは時に、餌を騙してなわばり内に引き込むような器用な代替手段を思いつく。
Bolas spiderの例で
彼らはある蛾の雌が発する性フェロモンと同じにおいを発する。この蛾の雄が雌を捜して飛んで来るが、雌ではなく粘着性の玉を持ってbolas
spiderがまちかまえている。クモはこの球を投げ、蛾に当てて捕らえる。(fig
13)
Nephila clavipesは日中で黄色く見える円形の網を作る。
彼らの主な餌となる熱帯性の針無し蜂はこの黄色の網に惹かれ、一旦逃げおおせた蜂でも再び戻ってきてこの網に捕まってしまう。この網を作る糸が黄色でないと蜂はすぐに避けてしまう。
この理由は、
黄色い花は多くの蜜や花粉が集められ、この色に集まる性質は有利となり、一般的に黄色を避ける性質は彼らにとって不利に働く。
↓
つまり適正な信号(黄色い花はポリネータが必要)と適正な受信者(蜂には花粉と蜜が必要)という互恵的相互作用によるコミュニケーションシステムからこのクモは搾取している。(see
Chap 8)
Catherine Craigは糸の光の反射を基に3つの種類に分類した。(fig 14)
このような進化の理由について、Craigは日中明るい場所で捕まえるクモの餌となる昆虫は、紫外線をよく見ることができるため、巣を回避されないように紫外線を吸収するような糸に進化したとしている。
しかし、これが正しいのならば何故多くの円形の巣を張るクモが、その巣に紫外線を良く反射するジグザグの目立つ構造を持つのだろうか?(fig
15)
これらのクモは明らかに祖先種の作るような種類の糸を作る能力を残している。
この理由として、
餌を捕まえるのとは無関係で、大きな動物に巣の存在を誇示して巣を壊されるのを防ぐとか、自分を大きく見せかけることで捕食者からの被害を免れるため。
この説の評価のために、巣の飾りの数(一巣あたり1−4)が少ないほど、動物による巣の破壊や被食の頻度が増えるかどうか検証する。
↓
Argiope argentataの中サイズの雌はその巣に飾りを追加するという観察結果から支持される。これらの個体は捕食者であるトカゲに対して体のサイズを大きく見せる。
A.argentataの飾りは餌となる昆虫を誘惑するため。
Catherine CraigとGary Bernardの実験。(fig 16)
↓
餌となる昆虫は、飾りの無い巣よりも飾りの付いている巣の方によく掛かる。
この結果は、巣の飾りが少なくとも餌をとる量を増やすような機能を持っているということを示している。
しかし何故餌となる昆虫はこの飾りに寄ってくるのか?
このArgiope属のクモは花のあるところによく巣を作る。花には紫外線を反射する部分とパターンがあり、これらのクモの巣の飾りは花のシグナルを真似ることで花に寄ってくる昆虫を惹きつける。
これが正しければArgiope argentataの獲物はポリネータが多いという事になるが、ある研究では餌の60%が花を訪れる小さな蜂であるという結果になっている。
どれを消費し、どれを無視するかにより餌探しをする動物は利益を得る。
前の章で見たように、milkweed-reared monarch butterfliesのような毒を持つ餌は、警告となる体色や行動によってその毒をしばしば誇示し、捕食者はこれらのシグナルに注意を払う。潜在的に毒を持つ食料が存在すると食肉動物と同じように食植動物においても探す餌の決定が明らかに具体化する。
植物を食べる様々な動物は、植物が捕食者対策のために組織に持っている毒性テルペン類やその他の毒の濃度の低い食料を選択する。
毒性の低い植物の食料を選ぶことはhowler monkeysにとって重要である。(fig
17)
howlerの葉の選択のルール
(1)最も一般的な種である木の葉はあまり食べようとせず、稀な種を見つけるのにかなりの時間をかける。
(2)あまり一般的でない種の木であっても、入手しやすい部分の葉を食べようとはしない。
森の中にある木の内、149サンプル中12の木からの物しか受け入れなかった。
(3)豊富にある成熟した大きな葉よりも、より数の少ない小さな新しい葉を好む。
(4)しばしば葉柄のみを食べ、大きな葉の部分を捨てる「無駄の多い」食べ方をする。
→この4つの選択はhowlersの餌探しのコストを高くする。
このつむじ曲がり見える食料選択は熱帯雨林の木の持つ毒やその他の防衛機構に対するものである。
(1)最も一般的な種の木はその葉に高濃度のアルカロイド・タンニンを持つ。
アルカロイドはhowlersに毒性を持つ;タンニンは消化不良を起こす。
(2)数の少ないサルが好む種の木でもhowlersは特にアルカロイド・タンニン濃度の低いものを捜す。
(3)成熟した葉に較べて、若い葉は多くの水分を含み栄養分のない繊維が少ない。
成熟した葉を食べるときには、捨ててしまう葉(ave9.4%)に較べてタンパク質の多い葉(12.4%)を選んで食べる。
(4)「無駄の多い」食べ方は、葉柄の部分の毒の濃度が葉の中で最も低いためで、より毒の多い葉の部分は捨ててしまう。
howlersは葉に囲まれているが、選択的な食べ方をすることでより毒の摂取量を減らし多くのタンパク質を摂取する。
毒性ではなくサイズの違いのみによる食料の選好性の違い。
太平洋北東部のカラスはlittlenecktukamの二枚貝を捕まえた後しばしば食べずに捨てる。カラスは貝を巣穴から掘り出すが、小さなものは海岸に捨て大きなものだけを岩の上に落として食べる。
彼らが貝を食べる割合はその大きさと共に増加する:29mmの大きさで50%、32-33mmの大きさで100%食べる。
研究者達は、小さいな貝と較べて壊し易さからではなく多くのカロリーを持っているので、最も利益の高い貝は最大のサイズのものである、とした。 それならばなぜ29-30mmの大きさの貝をわざわざ食べるのか?
大きな貝を捜すために今持っている貝を捨てる時間的なコストからかもしれない。
異なるサイズの貝からのカロリー収入と異なる探して、掘り出して、開けて、貝を食べるためのコストを考えて、RichardsonとVerbeekはカラスがカロリー摂取を最大にするように餌を視覚的に選択するという仮定を基に数学モデルを作った。彼らは28.5mmの貝が50%食べられるような予測を行い、カラスの行動は彼らのモデルと一致した。(fig
18)
彼らの研究は最適化理論に基づいている。カラスの食料選択の行動メカニズムが実際に視覚的なものに依るのならば、繁殖成功が最大になるように貝を選ぶはずであるが、彼らはカラスの適応度を直接調べていない。カロリー収入を最大にするという仮定の下にカラスが餌を探す間のエネルギー収入を調べているが、カラスはもっと多くの繁殖のためのエネルギーや他の適応度を上げるような行動に費やす時間を得るかもしれない。
この仮定は捕獲されたゼブラフィンチを用いた実験によって検証されている。
同じ餌を実験的に異なる方法で与えたところ、結果として毎日の個々のエネルギー収入は異なった。一日あたりに獲得する総エネルギーが多ければ多いほどフィンチの生存率と繁殖成功は高かった。(fig
19)
pipit(a songbird)やorb-weving spiderでも同様な結果になった。
oystercatcherも海岸の鳥で、最適化モデルの予測によく当てはまるような食料決定をする。
ベルギーの研究者、P.M.MeireとA.Ervynckはカロリー最大化説を発展させてイガイを食べるこの鳥に適用した。彼らもまた異なるサイズの餌の収益性をイガイの持つカロリー(a
fitness benefit)とイガイを開けるのに掛かる時間(a fitness cost)に基づいて算出した。
イガイの大きさが50mmを超えているときでさえたたいたり突き刺したりして開ける時間がより多く掛かるが、小さなイガイのときよりも開ける時間あたりにより多くのカロリーを使う。それ故にこのモデルの予測では、oystercatcherは最大のイガイに主な注意を向けるはずである(fig 20)。何故そうしないのか?
仮説1:最大のイガイは開け難さによってその収益性は減少し、最大の餌を食べることに依る平均的な利益が減少する。
餌の収益性についての最初の見積もりで、研究者は鳥が実際に開けた貝についてのみ考えた(fig
21,model A)。
この結果、oystercatcherは、その最大の労力をもってしても開けることのできないイガイを選択する羽目になる。イガイが大きいほど開けられず食べられないまま捨てられる。これらの食べられないイガイに浪費する時間は、餌を食べるとによる報酬を減少させる。この要素を考慮に入れた新しい最適化モデルによって、この鳥は最大の貝よりもむしろ50mmのものに注意を向けるはずだという予測が出された(fig
21,model B)。
しかしこの鳥は、実際には35-45mmの幅のイガイを好むため、食べられないイガイに浪費する時間からはこの鳥の食料選択行動は説明できない。
仮説2:大きなイガイの多くはフジツボに覆われているため開けられず、餌として扱う価値がない。
この鳥はフジツボに覆われたイガイには触れようとしない。イガイが大きくなるほどフジツボはつきやすくなり、oystercatcherはイガイの殻を壊しにくくなる。このためフジツボに覆われたイガイはoystercatcherにとって餌とならず、この鳥が異なるサイズの餌を食べるときの収益を見積もるときには排除するべきである。
(1)餌を開けるために掛かる時間
(2)開けられなかった貝に浪費した時間
(3)実際に餌にできる(フジツボに覆われていない)イガイのサイズの幅
これらの要素を考えた数学モデルによるとこの鳥は30-45mmのイガイを狙うはずであり、実際にそうである。
最適化モデルによる検証により、研究者はカラスやoystercatcherは餌を得るための時間に関してカロリー収入が最大になるように餌を選ぶという結論を出した。
oystercatcherの餌選択にカロリー収入以外の要素が影響を与えるなら、カロリー最大化モデルはそれにより検証に失敗するはずである。
多くの捕食者はいくつかの条件にカロリー獲得を考慮して餌を選択している。例えば食料の決定が動物の生存確率に影響する。
仮に捕食者が餌探しの行動を進化させてきたと考えるなら、その条件について最適化モデルを作りカロリー収入−コストが問題にならないことを検証すればよい。
餌探しによって動物が捕食者にさらされるならば、捕食のリスクが高いとき、動物は長期的な生存のために短期的なカロリー収入を犠牲にするはずだ。
whirligig beetleやhoary marmotsは捕食者のリスクを減らすために、餌探しの時間あたりに食べる餌の量を減らす。若いmarmotsは小さく経験も少ないので、遠出をして餌探しのコストを増やし餌を多く得る。そのため、若いmarmotsは成熟した個体が巣に隠れ捕食を回避するのに対し、餌探しの効率に妥協しているという予測を行うことができる。
同様にMatthew Orrの研究では寄生バエはハキリアリの餌探しのカロリー効率を減少する要素となる。(fig
22)
このアリは主に夜行性で、昼間の餌探しは効率的に最前のサイズよりも小さい個体が行う。この理由は、大きな個体に卵を産み付け殺してしまう寄生バエが存在し、このハエが昼に活発に行動し頭幅が1.8mm以下のアリは無視するためである。
Orrのような研究によって、検証可能な仮説を立てて最適化アプローチを用いると、それが棄却されたときに研究者が着目した要素はオリジナルでは問題になっていない事が分かり、結果的にその事象についての理解が深まるということが示された。
hoary marmotの研究 と同様に、yellow-eyed juncosの研究では個体の年齢が最適な採餌戦略に影響を与えることが示された。
これらの羽化したての鳥は大きなイモムシをぎこちなくつかんで飲み込む前に長い時間をかけてバラバラにする。しかし雛鳥は殆ど掴まずに小さなものを素早くつまんで飲み込む。
大きな餌を羽化したばかりの鳥が食べるのには時間が掛かるので、これらの鳥は実際には小さな餌を選んだ方が時間あたりのエネルギーをより多く得ることができる。
しかし、経験を積んだ年長の鳥は、学習によってより上手に虫を扱うため、羽化した手の若鳥の半分以下の時間でイモムシを捌く。これは、成熟した鳥は大きなイモムシを選んでも大きな時間的な制約はかからないことを意味する。
事実、成熟したjuncoにとって時間あたりのカロリー収入はイモムシが大きいときも小さいときも同じである。
雛鳥と成熟したjuncosが、大きいイモムシと小さいイモムシを混ぜたものから自由にとれるとしたら、雛は小さなものを、反対に成熟個体は大きなイモムシを選択するはずである。
↓
その検証結果はfig 23に示されている。
ニューメキシコのspadefoot toadの例 :そのオタマジャクシは以下の2つの形態を持っている。
すぐに成長し、fairy shrimpという小さな無脊椎動物を専門に食べるタイプ。
ゆっくりと成長し、池の底の懸濁物を食べるタイプ。
fairy shrimpを食べる肉食のタイプは、明らかに懸濁物食のタイプよりも早く成体に達する。では何故全てのオタマジャクシが肉食にならないのか?
2つのタイプの間の違いは遺伝的な違いに起因するのではなく、むしろ餌の違いによるものである。
たびたびこのエビを見つけた若いオタマジャクシがこの餌のみを食べるように特化するが、このエビが少なくなると雑食性の懸濁物食に戻ることができる。つまりこのカエルは手に入る餌を評価してそれに従って採餌行動を調節できる能力を進化させた。
この仮説が正しければ、池のカエルの肉食/懸濁物食の割合を実験的に変えると、不自然な切り替えが起きて元の割合に戻るはずである。
ゲーム理論(see Chap.9)によると、最適な採餌形態はポピュレーション中の他のメンバーが何を食べているかに依存する。
David Pfennigはこの仮説の検証のために5つの池を同じサイズの区画に分け、その区画の内のいくつかで食肉のタイプの頻度を変え、残りをコントロールとしてそのままにする。この後数日おきに肉食の割合を調べ、コントロールと比較すると、以下のような結果になった(fig
24).
肉食タイプの数を増やした区画
:次第にその割合が減少、元の割合に戻る。
肉食タイプの数を減らした区画
:同様に元の割合に戻る。
この結果は、肉食のタイプで競争が激しくなると肉食である利益が減少し、食料選択を状況に応じて切り替えられる個体が有利であることを強く示唆している。
食料を見つけどれを食べるかはという選択は不可欠なステップであるが、餌の食べる保証としては不十分である。しばしば選んだ餌は捕まえるのに抵抗する。
砂漠に住むEleodesは触れられると立ち止まり、腹部を持ち上げる。そのままつつき続けると、刺激性と毒性を持つ化学物質を出す。これは時に敵に対する防衛手段となるが、grasshopper
miceは素早く掴んで毒を噴く前にその腹部を砂に埋めてしまうことでこれに対抗し、それから頭から下に囓っていく。
スカンクは別の戦略を使う;彼らは前足で腺が空になるまで地面に昆虫を押しつけて転がす。そうして無防備にして害を無くしてから食べる。
毒を持たない被食者は、捕まえるのに特別な技術を要することがある。
例えば、高密度な群をなす魚はカモメの攻撃を避けるために突然全方向にバラバラになる。カモメはしばしば群で魚捕りをするが、これは魚の対捕獲戦略に対抗するためかもしれない。
群で捕獲を行う方が単独の時よりも速く餌を捕まえることができるという仮説の検証。
カモメを既に魚の入れてあるプールのある大きな鳥小屋の中に放す。カモメは単独、又は3or6のグループで餌捕りをさせられる。カモメは単独の時よりも、3または6羽のグループで餌捕りをしたほうが単位時間・単位個体数あたりの捕獲量が多かった(fig
25)。魚がある一羽から逃げおおせても他のカモメに向かって泳ぐことがあるため、群の方が餌をたくさん捕まえる。単独で魚を捕まえるときには逃げられると,より多くの気力と見返りの少ない方法で捕まえなければならない。
カモメの実験を適切に自然界でのポピュレーションに拡張して,カモメはより多くの餌を捕まえるために群を作るという結論を出せる。
捕食者が非常に大きな餌を捕まえるようとするときにも協力は起きる。
たとえば社会性のクモが彼らより遥かに大きなバッタを捕まえるときに協力して臨時の大きな網を作る。この集合性の網では、大きな獲物はある網を飛び出してもしばしば別の網にかかり、最後には縺れてしまう。この「飛び跳ね効果」が共同で網を作るクモにエネルギー的な余剰をもたらし、単独でより小さな波を作るようなクモを排除する(fig
26)。
狩りの際の協力行動はなわばりを持つような肉食動物の異なる三つのファミリーのメンバーで進化した:
Felidae、Canidae、Hyaenidae。
これらの社会性の肉食動物では成体の6-20倍もの体重を持つ動物を倒すことができる(fig
27)。
対照的に単独で生活する種(猫、犬、ハイエナ)はたいてい自分よりも小さいものを餌とする。
仮説:単独で捕まえるには大きすぎたり危険であるような獲物を捕まえるために肉食動物や社会性のクモは群で狩りを行う。
この仮説の最適化からの検証:ライオンやアフリカの野犬についての研究
肉食動物が群で狩りをすると個々の参加者の適応度の利益ーコストの割合が最大になり、適応度の総収入は個々の食べる餌の量と正の相関を持つと仮定する。この仮定を元に異なる大きさのグループの個体の食べる餌の量を測定し、最適なサイズの群でそのメンバーの得る餌の量が最大になるという予測を検証する。
ライオンのデータについての分析(fig 28 study 1)
ライオン一頭が一日に得ることのできる食料は、単独でよりもペアで狩りを行う方が多い。
別の研究(fig28 Study2,3)
二頭、又は単独で狩りをするのに較べ、3頭以上の群では一頭あたりの餌は少なくなる。
一頭のライオンが群の時と同じかそれ以上の餌を得ることさえある。また、食糧難の時にも、餌を得られる割合は非常に低いにもかかわらず、2-4頭の雌からなるプライドを解散して単独で狩りを行うことはしない。 群での狩りが個体あたりの食料の増加によって有利であるわけではないのなら、何故一緒にいるのか?
最適化モデルが一日あたりに得られる餌の量による共同の狩りの利益のみに着目して検証している事への指摘:
異なるサイズの群における狩りのコストについて考えるとモデルは変わってくる。
もし獲物を得るために移動する距離が群の大きさにより変わるなら、同じ利益を受け取るために必要なエネルギーもまた変化する。共同で狩りをする動物は、狩りについての利益とコストの差分を最大にしようとしているか?
3-20頭の野犬の群で得られる餌の量による社会的な狩りの利益と、獲物を追って走った距離から狩りのコストもはかった。
これらのデータから、狩りの成功について2つの異なる方法で見積もりを行った。
(1)一頭あたりの餌の量
(2)餌を得るための追跡に消費したエネルギーによって分けられた一頭あたりの餌の量
これらの値を群の大きさに対してプロットすると、最適な野犬のグループの大きさは以下のようになる
狩りの利益についてのみ考えると、20頭以上。(方法1に依る)
狩りの利益とコストの両方を考えると、14頭。(方法2に依る)
実際の野犬の狩りを行う群の大きさは約10頭で、2つのことが分かる。
(1)狩りの利益と同様にそのコストについて考える方がより現実的である。
(2)予測と実際の群の数の違いは、群のサイズについて方法1,2だけでは全体的な説明ができないことを示唆している。
最適化理論は、ライオンや野犬の狩りをする群の大きさについての予測とは別に、餌捕りの決定に適用できる。
例えば、巣立ち前の雛を持つ捕りが餌探しを行うとき、巣を離れ、適当な餌場を見つけなければならず、巣に持ち帰る前にどれだけの餌を捕まえなければならないかを判断しなければならない。
集めた餌が多いほど、くちばしに既に餌があるため新しい餌がとりにくくなり効率は下がる;
さらに鳥が餌をとるにつれそのパッチの餌は減っていく。
最適な中止時間は、餌探しの時間あたりの利益−コストの割合が最大となる点である。
しかし、最適化モデルの仮定は仮説の性質に影響する。例えば、ムクドリの親鳥が雛のために餌を集める行動について、餌探しからのエネルギーの割合を最大にしようとするという仮定と、家族が得るエネルギー的な利益を最大にしようとするという仮説では、結果はよく似るが同一ではない。
こ の2つがどう違うか見てみよう。
餌探しからのエネルギーつまり収益(yield)は、集めた餌の数(N)に餌の利用できるエネルギー(V)をかけたものを、餌探しと餌を巣に運ぶのに費やした時間(T)で割った関数になる。
Yield = NV/T
対照的に、雛の成長のために利用できるエネルギーを最大にする場合、収益(NV/T)から親が餌を集めるために使うエネルギー(Ep)を引き、すべての雛が現在の体重を維持するために必要なエネルギー(Ec)を引く。
Family gain = NV/T - Ep - Ec
Kacelnikによるこの2つの仮説の実験的な検証。
mealworm dispenserを用いて、雛を持つ野生のムクドリがmealworm dispenserに来るように訓練した。ムクドリはここでイモムシを受け取るが、いつ打ち切って餌を巣に持ち帰るか判断しなければならない。
ムクドリが一度に巣に持ち帰るイモムシの最適な数は餌場と巣の距離の関数になっている。巣からの距離が遠いと移動時間が長くなり、餌を捜す時間が、餌場から得られる全体の収益に対する主な要因でなくなる。
Family gainの数学モデルによる巣に持ち帰る餌の最適な数は、
餌場が巣のすぐ近くの時 :3
10-20秒かかるとき
:4
30-60秒かかるとき
:5
数百m先、数分かかるとき :6
Yieldのモデルによる予測はこれとは違うものになった。
実際の観察結果から、34回の餌捕りの際に持ち帰る餌の数がfamily gain modelで予測したのと63%一致した。
yield modelによる予測は50%程度だった。
別の要因も含まれているはずだが、彼はムクドリの主な目標は雛の成長を促進することであると結論づけた。
ムクドリはいつも餌を捕まえるのに分別のある判断をしているわけではないらしい。
5秒に一つの割合で餌を巣に持ち帰ると、時間の経過による利益の減少はないので巣の距離に関係なく7−8匹の餌を捕まえるという予想ができる。
この戦略では親鳥が餌を捜す場所の巣からの距離が近いか遠いかによって巣に持ち帰る餌の割合を最大にする。
実際に餌を巣の近くで捜すとき、巣に戻るまでに2.3匹のイモムシを捕まえる;
巣と餌場を行き来する時間がかなり多くなると、いっぱいになるまで捕まえる。(fig
30)
つまり、理論と現実は一致しない。これを解決するために、見落としていた多くの餌を運ぶコストを加えて検証した。
イモムシをめいっぱいに持っても成鳥の体重は1%しか増えないが、それでも効率的な飛行を妨げうることが分かった。餌の数が増えるほど餌場から巣に戻る時間は長くなり(fig
31)、一度にたくさんの餌を持ち帰るための代謝コストも大きくなる。
もう一度実際の結果から予測の見直しを行うことで、動物の行動についていくらか分かった。
餌を狩り、狩り、捕らえて仕事は終わりではない。
盗人予防
ライオンはヌーやシマウマを倒した後でさえ、しばしば食事の前にプライドの外からの盗人に対処しなければならない。
毒の回避
また、black-backed orioleがmonarch butterfliesにするように(see Chap
9)、毒を持った餌を捕まえたらその毒を何とかしなければならない。
noxious grasshopperのように毒を噴き出す代わりに、刺でさして数日間弱らせるものもいる。
一般的に捕まえた餌は食べる前にさらに準備が必要である。
northwestern crowでは貝を捕まえて食べるとき、その貝を開けなければならない。カラスは貝を見つけると、彼らは貝をくわえて飛び上がり空中から落とす。そして貝殻が割れたら中身を引きずり出して食べる。
この行動の適応的な意義はわかりやすいように思える。カラスのくちばしでは貝殻は堅すぎて割ることができないため、岩に落として割るのである。
さらに詳しくカラスの餌決定について分析する。
カラスが貝を食べようとするとき、そこには多くの選択肢が存在する:
どの貝を選ぶか、貝を落とす高さはどうするか、一回で壊れなかったら何回続けるか?
実際の観察結果から、以下のように分かった。
(1)カラスは約3.5-4.4cmの大きさの貝のみを落とす
(2)約5mの高さから落とす。
(3)たくさん飛ぶはめになっても割れるまで続ける。
仮説:カラスは餌探しにおいて単位時間あたりに食べる貝の量を最大にするような最適な判断をする。
この仮説からの予測:
(1)大きな貝は小さなものと較べて5mの高さから落とすと壊れ易いはずだ。
(2)5mよりも低いところから落とすと壊れる割合は低くなるが、5mより高くてもあまり開きやすくはならない。
(3)既に落とした回数と貝の壊れる割合は独立である。
以下のような方法で検証を行った。
岩のある浜に15mの棒をたて、その棒に高さを調整でき、色々な大きさの貝を落とせるような壇を取り付けた。大中小の貝を集めてきて異なる高さから落とした。(fig
32)
その結果、以下のことが分かった。
(1)大きな貝は中・小の貝に較べて、壊すのに必要な高さは5m以下だった。
(2)貝を落とす高さが5mになるまで、高くなるにつれ急速に貝の壊れる割合が増加したが、非常に小さな貝は高いところから落としても向上は見られなかった。
(3)大きな貝の壊れる割合は約1/4である。そのため失敗が続いて壊れにくい貝を捨て、同じ大きさの次の貝に取り替えて壊し始めてもあまり特にならない。さらに新しい餌を見つけるのには時間とエネルギーがかかる。
カロリーについての見積もり:大きな貝の時
壊すために必要な平均のカロリー:0.5kcal
食べて得られるカロリー:2.0kcal
正味のカロリー収入:2.0 - 0.5 = 1.5kcal
中サイズの貝の時の収入は-0.3kcal、小さいときはさらに赤字となる。
つまり大きな貝以外を全て捨てるカラスの行動は明らかに適応的で、落とす高さの選択の選択と失敗を気にせずに続けることにより餌から最大限の利益を得ることができる。
エネルギーについての考慮は、どの獲物を攻撃し何を食べるかを決めるのに影響を与えるが、いつも主要な要因であるわけではない。
捕食のリスクが高いとき、個体がより利益は低いけれど安全である餌を選ぶことについての実験
Chickadeeは多くの天敵のいる小さい鳥で、彼らは外で餌を食べず餌を確保すると隠れ場所に隠れてしまう。
Chickadeeの隠れる行動のコスト−利益についての研究:
隠れ場所から2,10,18mの所にひまわりの種を置いた皿を置く。もしこの鳥の行動が単に食料の収入を最大にするものであれば、隠れ家からの距離に関係なく彼らは餌場にとどまり、次々に食料を食べるだろう。
実際の結果:
餌を殆ど持たずに、比較的安全な松の葉の隠れ家まで戻った。隠れ家に隠れている傾向は、鳥の隠れ家に戻る時間的・エネルギー的なコストが少ないほど増加した。
Chickadeeの隠れようとする傾向は、捕食者の存在を感じたときに増加した。
人工の捕食者を見せる実験(fig 32)
偽物のタカがChickadeeの近くを通り過ぎると捕食者のいないときに較べて、コストは増えるにもかかわらず、さらされた場所にある餌を食べる前に隠れ家に運ぶ傾向が強くなる。
この鳥は、近くにいる捕食者を避けるために自発的に餌を捜す効率を犠牲にする。
カロリーの考慮だけが動物の食料の選択に影響を与える要因ではない;消化しにくい食べ物を捜すことがある。
チンパンジーの例: 抗生物質や薬として、ある種の植物を食べると信じられている。
世界中の多くの社会で起きる、人間が泥を食べる行動についての研究
たいていの土食いはカロリー価値のない粘土を集めて食べることに時間やエネルギーを費やす。
カロリー収入を最大にするようなものを食べる最適化の考えに反するこれらの習慣について説明する多くの仮説が出されてきた。
非適応主義者による病理学仮説
泥を食べるという行動は機能上何の意味も持たない常軌を逸した行動である。
適応主義者による解毒仮説
ある種の食べ物を無毒化するために粘土を食べる、それゆえに栄養的な価値が向上する。
病理学仮説は、相対的に少数の錯乱した個体のみが粘土を食べると予測した。
Andean BoliviaのAymara、南西アメリカのHopi、地中海のSaradina島などを含む文化では食料としてドングリには高濃度のタンニンを含むドングリや毒性アルカロイドが多く苦い芋に頼っている。粘土によってこれらの食物をよりおいしくしたり、毒性を低くする。
無毒化説の比較検証:
人間と無関係な動物でもタンニンやアルカロイドの高い食物を食べる動物は粘土を捜すか?
↓
red-and-green macawがそのような種である。
この鳥は毒性の高い餌を食べ、その後川堤に規則的に集まってきてむき出しになっている粘土を食べる事で、危険な食べ物の栄養分を利用可能にしている。(colr
plate 12)