*概要 [#nd4d04e0]
RaspBerry Pi に I2C 接続の単色 128*64 ドットの OLED(有機 EL) ディスプレイを接続して、コンソール画面(CTRL+ALT+F1 を押したときの画面)を表示するディスプレイとして使う手順です。RaspBerry Pi 本体に接続した USB キーボードから 16x8 文字表示のコンソールにログインして、シェル上で操作できます。

DHCP 環境で RaspBerry Pi にリモートでログインしたいけれども IP アドレスが分からない場合、通常は外部ディスプレイを接続する必要があって面倒ですが、このコンソール画面があれば "ifconfig | less" コマンドで調べられます。調べるだけでなく "ifconfig eth0 192.168.0.1" などとして IP アドレスを変更したり "vi /etc/dhcpcd.conf" で設定ファイルを編集することまでなんとかできます。解像度は高くありませんが、超小型(27.3mm*27.3mm)のディスプレイなので、普段から接続したままでも邪魔になりません。

&ref(login.jpg,zoom,320x240);
&ref(zero.jpg,zoom,300x240);
&ref(inu.jpg,zoom,300x240);
//&ref(oled02.jpg,zoom,300x240);
//&ref(oled03.jpg,zoom,300x240);

-動画 &ref(oled01.mpg); ([[Twitter:https://twitter.com/milktolait/status/827124644125609984]] の動画)
-mplayer でビデオ再生: https://www.youtube.com/watch?v=AYDwFxZyZmc&feature=youtu.be
-機種: RaspberryPi(Model-B, Model-B+, Zero)で動作確認
-動作確認した OS
--システムの起動スクリプトが systemd の OS (Jessie 以降) の必要があるようです
--Linux pi 4.1.13+ #826 PREEMPT Fri Nov 13 20:13:22 GMT 2015 armv6l GNU/Linux
---NOOBS v1.5.0, v1.9.2 でインストール
--Linux raspberrypi 4.4.34+ #930 Wed Nov 23 15:12:30 GMT 2016 armv6l GNU/Linux
---Raspbian Jessie Lite Release date: 2017-01-11

-OLED(有機 EL) ディスプレイ: SSD1306 制御の製品(4ピン, I2C インタフェースのもの, I2C スレーブアドレス=3CH[1bit左シフトして78Hと表記される場合もあり])
--[[Aitendo1:http://www.aitendo.com/product/14958]] [[Aitendo2:http://www.aitendo.com/product/14959]]
--[[Amazon:https://www.amazon.co.jp/HiLetgo-128%C3%9764-OLED%E6%B6%B2%E6%99%B6%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4-%E6%B6%B2%E6%99%B6%E3%83%A2%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB-Arduino/dp/B01MF97E87/ref=sr_1_cc_3?s=aps&ie=UTF8&qid=1486539163&sr=1-3-catcorr&keywords=oled+i2c]]

*動作 [#t1aefde1]
-CTRL+ALT+F1 でコンソールに切り替えると、有機 EL ディスプレイに表示されるようになります。解像度は128*64 ドットになります。同時に HDMI にも出力されます
-CTRL+ALT+F2 以降のコンソールに切り替えると通常通りの画面出力になります。X Window も通常通り使用できます。

*初期設定 [#uba4dcfc]
**自動設定スクリプト(Install.sh)を使う場合 [#s155fee4]
(1) 配線
-RaspberryPi の I2C 出力と OLED ディスプレイを結線する(必要な配線は4本のみ)
-1,3,5,6 ピンを使用。図は RaspberryPi ModelA/B の GPIO が 26 ピンの場合だが、GPIO が 40 ピンのモデルでも同様に 1,3,5,6 ピンを接続する。
-COLOR(RED){電源のピン配列に注意!!}: ピン配列が左から VDD-GND-SCK-SDA の順のOLEDもあり、その場合 VDDとGNDの配線がこの図と逆になります。

#ref(hardware.png,zoom,400x340)
--配線の参考にしたページ: [[Raspberry PiでI2C接続の128×64 OLEDに日本語を表示(美咲フォント):http://ytkyk.info/blog/2016/06/19/raspberry-pi%E3%81%A7128x64%E3%81%AEoled%E3%81%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%82%92%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E7%BE%8E%E5%92%B2%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%88/]]

(2) &ref(oled.zip); をダウンロードして展開し、root 権限で自動設定スクリプト Install.sh を実行する
 # sh Install.sh
-下記の「手動で設定する場合」の (2)-(7) が自動で実行される

(3) I2C  の有効化
 # raspi-config
-メニューから "Advenced Options" → "I2C" を選択して有効化
--メニューにない場合は "Interfacing Options" → "I2C" から有効化する
-ここで "4 Internationalisation Options" メニューから日本語キーボードの設定もできる
-再起動すると有機 EL ディスプレイの表示が開始する

**手動で設定する場合 [#jd2f0d32]
(1) 配線
-RaspberryPi の I2C 出力と OLED ディスプレイを結線する(上の配線図を参照)
--参考ページ: [[Raspberry PiでI2C接続の128×64 OLEDに日本語を表示(美咲フォント):http://ytkyk.info/blog/2016/06/19/raspberry-pi%E3%81%A7128x64%E3%81%AEoled%E3%81%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%82%92%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E7%BE%8E%E5%92%B2%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%88/]]

(2)  &ref(oled.zip); をダウンロードして展開し oled コマンドを /bin/oled に置いて実行パーミションを付ける
 # cp oled /bin/oled
 # chmod a+x /bin/oled

(3) 8dot フォント(alt-8x8 他)をインストール
 # export DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
 # apt-get install console-data
-フォントファイルが /usr/share/consolefonts に追加される
//-ここでキーボードの設定もできる
//&ref(console.png,zoom,300x200);

(4) I2C  の有効化

 # raspi-config
-メニューから "Advenced Options" → "I2C" を選択して有効化
--メニューにない場合は "Interfacing Options" → "I2C" から有効化する
-ここで "4 Internationalisation Options" メニューから日本語キーボードの設定もできる
-再起動


(5) 解像度の追加
-/etc/fb.modes を編集して、末尾に下記の行を追加

 mode "128x64-60"
     # D: 25.175 MHz, H: 31.469 kHz, V: 59.94 Hz
     geometry 128 64 128 64 8
     timings 39722 48 16 33 10 96 2
 endmode

(6) oled サービスの追加
-/etc/systemd/system/oled.service を新規作成して下記の内容を入力

 [Unit]
 Description = oled daemon
 After = multi-user.target
 # After=display-manager.service
 [Service]
 ExecStartPre=/bin/bash -c "/bin/sleep 10; /bin/chvt 1; /bin/fbset '128x64-60'; /bin/setfont 'alt-8x8'"
 ExecStopPost=/bin/bash -c "/bin/fbset '800x600-60'; /bin/setfont 'default8x16'"
 ExecStart = /bin/oled
 Restart = always
 Type = simple
 [Install]
 WantedBy = multi-user.target

(7) OS 起動時にサービスを開始するように指定

 # systemctl enable oled 
を実行する(不要になったら systemctl disable oled で無効化できる)。

*Raspberry Pi Zero に横向きに OLED を接続する方法 [#l4816237]
-I2C 専用のポートでなく、一般の GPIO に OLED を接続する
--オーバーレイという機能で、一般の GPIO でもソフトウェア I2C を実現する
---https://qiita.com/spicemanjp/items/50474e56ddccabf02b01
--/dev/i2c-3 等としてソフトウェア I2C が使えるようになる
-手順
--まず上記の「初期設定(自動設定スクリプト(Install.sh)を使う場合)」を行う
--/boot/config.txt に下記の行を追記する
---SDA=GPIO9, SCL=GPIO10 に設定する
 dtoverlay=i2c-gpio,i2c_gpio_sda=9,i2c_gpio_scl=10,i2c_gpio_delay_us=2
--/etc/systemd/system/oled.service を修正
---電源用に GPIO22 を出力ピンにして 0[V] を出力する
---出力電流が GPIO 出力をオーバーしないように OLED の明るさを下げる
---I2C データを /dev/i2c-3 に出力する
 [Unit]
 Description = oled daemon
 #After = multi-user.target
 After=display-manager.service
 [Service]
 ExecStartPre=/bin/bash -c "echo 22 > /sys/class/gpio/export; echo out
 > /sys/class/gpio/gpio22/direction; echo 0 > /sys/class/gpio/
 gpio22/value; /bin/sleep 10; /bin/chvt 1; /bin/fbset '128x64-60'; 
 /bin/setfont  'alt-8x8'"
 ExecStopPost=/bin/bash -c "/bin/fbset '800x600-60'; /bin/setfont 'default8x16'"
 ExecStart = /bin/oled 250 0x3c /dev/i2c-3 /dev/fb0 0
 Restart = always
 Type = simple
 [Install]
 WantedBy = multi-user.target
--COLOR(RED){【注意】OLED 側で I2C のプルアップが必要}
---SCK, SDA をそれぞれ 1[kΩ] でプルアップした
--OLED を接続するピン位置
#ref(gpio-zero1.jpg,zoom,320x240)
--表示テスト
#ref(gpio-zero2.jpg,zoom,320x240)

*補足 [#xdb433d7]
-COLOR(RED){USB 日本語キーボードを使うには}
--標準ではキーバインドが日本語キーボード用になっていません。特に OLED のコンソールは画面が狭いため "|" (パイプ文字) が入力できないと、"ls | less" 等と入力できず、表示がすべてスクロールアウトしてしまい役に立ちません。下記のコマンドで日本語キーボードに変更してください。
 # loadkeys jp106 
-自動設定スクリプト Install.sh を書きました。oled.zip に含まれています。"sh Install.sh" を実行すると上記の (2)-(7) が自動で行われます。ただし「(4)I2Cの有効化」は別途手動で行う必要があります。
-%%サービスを停止しても X-Window の解像度が 128*64 のままで、本来の解像度に戻りません 。COLOR(RED){解決方法が分かる方がいましたら教えてください}%%
--原理を正確に把握していませんが、上記 (6) の /etc/systemd/system/oled.service ファイルの [Unit] セクションに "After = multi-user.target" を追加し、ExecStartPre に /bin/sleep 10 を追加してスリープを入れることで希望通りの動作になりました。すなわち、通常は本来の解像度で X Window を使うことができ、本体に接続した USB キーボードで CTRL+ALT+F1 を押したときだけ、解像度 128*64 のコンソール1が有機 EL ディスプレイに表示されます。その後 CTRL+ALT+F7 を押すと X Window に戻ります。
-手動でのサービスの停止と再開
 # service oled stop
でサービスが停止し、有機 EL ディスプレイが更新されなくなり、コンソール1の解像度が 128*64 ドットから 800*600 ドットになります。
 # service oled start
でサービスを再開します(起動前に10秒間のウェイトが入りますので時間がかかります)。
-%%I2C スレーブアドレスが 3CH(78H) 以外のディスプレイを使う場合はソースファイルoled.c 中の定数 OLED_ADDR を修正して再コンパイルが必要です(gcc -o oled oled.c)%%
--引数でスレーブアドレス他のパラメータを指定できるようにしました。下記「ソフトウェア」の解説を参照
-CPU 負荷を軽減するために、1フレーム表示ごとに 100ms のウェイトを入れています(10fps程度?)。top コマンドで表示される oled コマンドの CPU 負荷は 1~2% になっています。
-/etc/rsyslog.conf の末尾を次のように編集すると、システムログを OLED ディスプレイに表示させることができます。
--編集前: xconsole に出力
 daemon.*;mail.*;\
         news.err;\
         *.=debug;*.=info;\
         *.=notice;*.=warn       |/dev/xconsole
--編集後: OLED(/dev/tty1) に出力
 daemon.*;mail.*;\
         news.err;\
         *.=debug;*.=info;\
         *.=notice;*.=warn       |/dev/tty1 ←この行を修正

-一定時間(600秒)の無操作でディスプレイ表示が OFF になります。その場合 USB キーボードのキーを押せば再度表示されます。/etc/systemd/system/oled.service の "ExecStartPre=" の行の最後に ";export TERM=linux; setterm -blank 0 > /dev/tty1" を付けると、この省電力機能が無効になります。
--ディスプレイ OFF までの時間は /sys/module/kernel/parameters/consoleblank に記録されています

-下記のコマンドでカーソルが非表示になります
 # setterm -cursor off > /dev/tty1

-プロンプトの変更
--bash の場合 export PS1=">"
--csh の場合  set prompt=">"

-COLOR(RED){文字の表示}
--コンソール(/dev/tty1) にテキストをリダイレクトで出力すれば OLED に表示されます
 (時刻を表示する例)
 # date -R > /dev/tty1

-COLOR(RED){画像の表示}
--画像の表示テスト用プログラム dispImg を作成しました。oled.zip に含まれています。直接 OLED に描画するのではなく、コンソール1 に画像を表示しますので、表示するためには oled サービスが実行中である必要があります。表示できるのは 1bit・バイナリ形式の pbm ファイル(マジックナンバー P4)のみですので、下記のように ImageMagick の convert コマンド等で pbm ファイルに変換してから表示してください。画面写真にある、いぬの絵を表示するときに使用しました。
 # convert file.png file.pbm
 # dispImg file.pbm



*外部リンク [#oc2baf9f]
-[[raspberrypi3 yoctoでSSD1306 OLEDディスプレイを動かす:http://mickey-happygolucky.hatenablog.com/entry/2016/10/07/024608]]
--後日このページの存在に気づきました。このページの方法では、システムイメージ自体を再ビルドして OLED に対応しているようです。
-[[Raspberry PiでSPIシリアルで有機ELにフレームバッファを表示する実験してみた:http://projectc3.seesaa.net/article/355913199.html]]
--本記事と同様の表示を SPI 接続のカラー OLED で実現されています。

*ソフトウェア [#cae08b6d]
**ソフトウェアのダウンロード [#c1ee732d]
-oled.zip(ソース+RaspberryPiバイナリ)
--&ref(oled.zip);
**oled コマンドについて [#c1ee732d]
 # oled [-h] waitTime i2cAddress i2cDeviceFile framebufferDeviceFile Brightness
-フレームバッファ(VRAM)の内容を一定周期で OLED に表示するプログラムです
- -h を付けるとヘルプを表示して終了します
-引数は省略可能ですが、いずれかの引数を指定する場合は、それより手前の引数は省略できません
-エラーメッセージは syslog に出力されます(/var/log/messages 等)
-raspi-config コマンドで RaspberryPi の I2C 通信機能を有効にしておく必要があります

|引数|意味|省略時のデフォルト値|
|waitTime|画面転送の周期(ms)|100|
|i2cAddress|I2C のスレーブアドレス|0x3c|
|i2cDeviceFile|I2Cのデバイスファイル名|/dev/i2c-0 と /dev/i2c-1|
|framebufferDeviceFile|フレームバッファのデバイスファイル名|/dev/fb0|
|Brightness|明度(0-255)|128|
-例
 # oled 100 0x3c /dev/i2c-0 /dev/fb0 128


----
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