お知らせ †
- OMMF 2018 で Raspberry Pi OLED 小型ディスプレイキット」または「基板」を購入いただいた皆様へ
- 基板は「(1) 配線」と同じ結線になっています。下記の写真をクリックして、これを参考に裏表面を間違ないようにはんだ付けしてください
- 通常は Raspberry Pi で下記の「初期設定」の「自動設定スクリプト(Install.sh)を使う場合」を実行するだけで使えます
概要 †
RaspBerry Pi に I2C 接続の単色 128*64 ドットの OLED(有機 EL) ディスプレイを接続して、コンソール画面(CTRL+ALT+F1 を押したときの画面)を表示するディスプレイとして使う手順です。RaspBerry Pi 本体に接続した USB キーボードから 16x8 文字表示のコンソールにログインして、シェル上で操作できます。
DHCP 環境で RaspBerry Pi にリモートでログインしたいけれども IP アドレスが分からない場合、通常は外部ディスプレイを接続する必要があって面倒ですが、このコンソール画面があれば "ifconfig | less" コマンドで調べられます。調べるだけでなく "ifconfig eth0 192.168.0.1" などとして IP アドレスを変更したり "vi /etc/dhcpcd.conf" で設定ファイルを編集することまでなんとかできます。解像度は高くありませんが、超小型(27.3mm*27.3mm)のディスプレイなので、普段から接続したままでも邪魔になりません。
- 動画 oled01.mpg (Twitter の動画)
- mplayer でビデオ再生: https://www.youtube.com/watch?v=AYDwFxZyZmc&feature=youtu.be
- 機種: RaspberryPi(Model-B, Model-B+, Zero)で動作確認
- 動作確認した OS
- システムの起動スクリプトが systemd の OS (Jessie 以降) の必要があるようです
- Linux pi 4.1.13+ #826 PREEMPT Fri Nov 13 20:13:22 GMT 2015 armv6l GNU/Linux
- NOOBS v1.5.0, v1.9.2 でインストール
- Linux raspberrypi 4.4.34+ #930 Wed Nov 23 15:12:30 GMT 2016 armv6l GNU/Linux
- Raspbian Jessie Lite Release date: 2017-01-11
- OLED(有機 EL) ディスプレイ: SSD1306 制御の製品(4ピン, I2C インタフェースのもの, I2C スレーブアドレス=3CH[1bit左シフトして78Hと表記される場合もあり])
動作 †
- CTRL+ALT+F1 (または "/bin/chvt 1" コマンド)でコンソールに切り替えると、有機 EL ディスプレイに表示されるようになります。解像度は128*64 ドットになります。同時に HDMI にも出力されます
- CTRL+ALT+F2 以降のコンソールに切り替えると通常通りの画面出力になります。X Window も通常通り使用できます。
- フレームバッファ(VRAM)の内容を、バックグラウンドで動いている通常のソフトウェアで定期的に I2C で OLED に表示させることで実現しています。カーネルの修正等は必要ありません
- コンソールからログインしたときにキーボードで "|" (パイプ文字) 等が入力できない場合は、下の方の「補足」の先頭部分を参照してください
初期設定 †
自動設定スクリプト(Install.sh)を使う場合 †
(1) 配線
- RaspberryPi の I2C 出力と OLED ディスプレイを結線する(必要な配線は4本のみ)
- 1,3,5,6 ピンを使用。図は RaspberryPi ModelA/B の GPIO が 26 ピンの場合だが、GPIO が 40 ピンのモデルでも同様に 1,3,5,6 ピンを接続する。
- 電源のピン配列に注意!!: ピン配列が左から VDD-GND-SCK-SDA の順のOLEDもあり、その場合 VDDとGNDの配線がこの図と逆になります。
(2) oled.zip をダウンロードして展開し、root 権限で自動設定スクリプト Install.sh を実行する
# sh Install.sh
- 下記の「手動で設定する場合」の (2)-(7) が自動で実行される
(3) I2C の有効化
# raspi-config
- メニューから "Advenced Options" → "I2C" を選択して有効化
- メニューにない場合は "Interfacing Options" → "I2C" から有効化する
- ここで "4 Internationalisation Options" メニューから日本語キーボードの設定もできる
- 再起動すると有機 EL ディスプレイの表示が開始する
手動で設定する場合(通常は不要です) †
(1) 配線
- RaspberryPi の I2C 出力と OLED ディスプレイを結線する(上の配線図を参照)
(2) oled.zip をダウンロードして展開し oled コマンドを /bin/oled に置いて実行パーミションを付ける
# cp oled /bin/oled
# chmod a+x /bin/oled
(3) 8dot フォント(alt-8x8 他)をインストール
# export DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
# apt-get install console-data
- フォントファイルが /usr/share/consolefonts に追加される
(4) I2C の有効化
# raspi-config
- メニューから "Advenced Options" → "I2C" を選択して有効化
- メニューにない場合は "Interfacing Options" → "I2C" から有効化する
- ここで "4 Internationalisation Options" メニューから日本語キーボードの設定もできる
- 再起動
(5) 解像度の追加
- /etc/fb.modes を編集して、末尾に下記の行を追加
mode "128x64-60"
# D: 25.175 MHz, H: 31.469 kHz, V: 59.94 Hz
geometry 128 64 128 64 8
timings 39722 48 16 33 10 96 2
endmode
(6) oled サービスの追加
- /etc/systemd/system/oled.service を新規作成して下記の内容を入力
[Unit]
Description = oled daemon
After = multi-user.target
# After=display-manager.service
[Service]
ExecStartPre=/bin/bash -c "/bin/sleep 10; /bin/chvt 1; /bin/fbset '128x64-60'; /bin/setfont 'alt-8x8'"
ExecStopPost=/bin/bash -c "/bin/fbset '800x600-60'; /bin/setfont 'default8x16'"
ExecStart = /bin/oled
Restart = always
Type = simple
[Install]
WantedBy = multi-user.target
(7) OS 起動時にサービスを開始するように指定
# systemctl enable oled
を実行する(不要になったら systemctl disable oled で無効化できる)。
Raspberry Pi Zero に横向きに OLED を接続する方法 †
- I2C 専用のポートでなくても、GPIO に OLED を接続することができる
- オーバーレイという機能で GPIO でソフトウェア I2C を実現する
- /dev/i2c-3 等としてソフトウェア I2C が使えるようになる
- 【注意】OLED 側で I2C のプルアップが必要
- SCK, SDA をそれぞれ 1[kΩ] でプルアップした
- 手順
- まず上記の「初期設定(自動設定スクリプト(Install.sh)を使う場合)」を行う
- /boot/config.txt に下記の行を追記して再起動する
- /etc/systemd/system/oled.service を修正。下記の動作をするようになる。
- OLED を接続するピン位置
(OLED のピン配列が左から GND-VDD-SCK-SDA であることを確認してください。この順でない OLED はそのままでは使えません)
補足 †
- USB 日本語キーボードを使うには
- 標準ではキーバインドが日本語キーボード用になっていません。特に OLED のコンソールは画面が狭いため "|" (パイプ文字) が入力できないと、"ls | less" 等と入力できず、表示がすべてスクロールアウトしてしまい役に立ちません。下記のコマンドで日本語キーボードに変更してください。
# loadkeys jp106
- 自動設定スクリプト Install.sh を書きました。oled.zip に含まれています。"sh Install.sh" を実行すると上記の (2)-(7) が自動で行われます。ただし「(4)I2Cの有効化」は別途手動で行う必要があります。
サービスを停止しても X-Window の解像度が 128*64 のままで、本来の解像度に戻りません 。解決方法が分かる方がいましたら教えてください
- 原理を正確に把握していませんが、上記 (6) の /etc/systemd/system/oled.service ファイルの [Unit] セクションに "After = multi-user.target" を追加し、ExecStartPre に /bin/sleep 10 を追加してスリープを入れることで希望通りの動作になりました。すなわち、通常は本来の解像度で X Window を使うことができ、本体に接続した USB キーボードで CTRL+ALT+F1 を押したときだけ、解像度 128*64 のコンソール1が有機 EL ディスプレイに表示されます。その後 CTRL+ALT+F7 を押すと X Window に戻ります。
- 手動でのサービスの停止と再開
# service oled stop
でサービスが停止し、有機 EL ディスプレイが更新されなくなり、コンソール1の解像度が 128*64 ドットから 800*600 ドットになります。
# service oled start
でサービスを再開します(起動前に10秒間のウェイトが入りますので時間がかかります)。
I2C スレーブアドレスが 3CH(78H) 以外のディスプレイを使う場合はソースファイルoled.c 中の定数 OLED_ADDR を修正して再コンパイルが必要です(gcc -o oled oled.c)
- 引数でスレーブアドレス他のパラメータを指定できるようにしました。下記「ソフトウェア」の解説を参照
- CPU 負荷を軽減するために、1フレーム表示ごとに 100ms のウェイトを入れています(10fps程度?)。top コマンドで表示される oled コマンドの CPU 負荷は 1~2% になっています。
- /etc/rsyslog.conf の末尾を次のように編集すると、システムログを OLED ディスプレイに表示させることができます。
- 一定時間(600秒)の無操作でディスプレイ表示が OFF になります。その場合 USB キーボードのキーを押せば再度表示されます。/etc/systemd/system/oled.service の "ExecStartPre=" の行の最後に ";export TERM=linux; setterm -blank 0 > /dev/tty1" を付けると、この省電力機能が無効になります。
- ディスプレイ OFF までの時間は /sys/module/kernel/parameters/consoleblank に記録されています
- プロンプトの変更
- bash の場合 export PS1=">"
- csh の場合 set prompt=">"
外部リンク †
ソフトウェア †
ソフトウェアのダウンロード †
- oled.zip(ソース+RaspberryPiバイナリ)
oled コマンドについて †
# oled [-h] waitTime i2cAddress i2cDeviceFile framebufferDeviceFile Brightness
- フレームバッファ(VRAM)の内容を一定周期で OLED に表示するプログラムです
- -h を付けるとヘルプを表示して終了します
- 引数は省略可能ですが、いずれかの引数を指定する場合は、それより手前の引数は省略できません
- エラーメッセージは syslog に出力されます(/var/log/messages 等)
- raspi-config コマンドで RaspberryPi の I2C 通信機能を有効にしておく必要があります
引数 | 意味 | 省略時のデフォルト値 |
waitTime | 画面転送の周期(ms) | 100 |
i2cAddress | I2C のスレーブアドレス | 0x3c |
i2cDeviceFile | I2Cのデバイスファイル名 | /dev/i2c-0 と /dev/i2c-1(open できたほうを使用) |
framebufferDeviceFile | フレームバッファのデバイスファイル名 | /dev/fb0 |
Brightness | OLED の明るさ(0-255) | 128 |
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